オーギュスト・ロダン作 『カテドラル』 -晩年に辿り着いた傑作-
辿り着いたのは・・・
オーギュスト・ロダン作 『カテドラル』
1908年
高さ 64cm
ロダンの代表作といえば誰もが『考える人』を挙げるのだろうと思います。
でも、今回はあえて『カテドラル』という作品を取り上げてみました。
ロダン68歳、晩年期の傑作です。
合わさった二つの手。不思議な違和感を覚えませんか?
フランス語でカテドラル、日本語では大聖堂という意味のタイトル。
パリのノートルダム大聖堂、イタリアで見るクーポールなど、大聖堂とは大きな石の建造物です。
では、ロダンは何故二つの手が合わさったこの作品に
『カテドラル』という名前を付けたのでしょうか。
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ロダンは初めて「手」だけを使って作品を作り上げた芸術家です。
ロダン以前の彫刻では全身又は半身。身体の一部だけを使った表現はありませんでした。
この作品、二つの手が触れ合う、とても神秘的な作品です。
「神の手」と「悪魔の手」、「男性の手」と「女性の手」
はたまた、墓場から突き出した手などと想像されていますが
その真意を知るのは、残念ながらロダンのみです。
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見れば見るほど神秘的で不思議な作品です。
まずは、腕をねじって同じ形を作ってみよう。 あれ?うまくいかない・・・・ どうして??
そう、この形、一人では作れないんです。
良く見ると触れ合っているのは二つの手の親指と小指。
二人の右手がないと出来ない形です。
そして、片方の手は厚く、片方の手は薄く作られているのが良く見ると分かります。
う~ん、やっぱり男性と女性の手なんでしょうか。
お堅い美術の先生であればこう解説してくれるでしょう。
ロダンは中世の大聖堂に魅せられた芸術家であり、中世時代、神は手によって表現されていたのだと。
つまり、神を象徴する手によって大聖堂を表現している。
でも、ロダンの人生に重ね合わせてこの作品を良く観ると
自分なりの、ちょっと感傷的な一つの想像が浮かんできます。
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たった一つの真実の愛など信じないという人は多くいるでしょうが、ロダンもそんな考えの持ち主でした。
二十歳の頃からローズという内縁の妻と暮らし子供も設けていますが
一方では、自身の弟子カミーユ・クローデルという若く才能ある女性彫刻家を愛人としました。
そして、ロダンがどちらか一人を自分の意志で選ぶことは生涯ありませんでした。
ローズには心の安らぎを、カミーユには若いエネルギーを求めていたと
一般的に言われていますし、恐らくその通りだったのでしょう。
でも、本当にそれだけだったのでしょうか?
ロダンは、自分が慕っていた実の姉がロダンの友達との恋に破れ
姉が自殺してしまったというトラウマを抱えていました。
恐らくそれがきっかけで、愛などとは移ろいやすいもので
どんなに言葉を重ね確認しあったとしても、いつかは自分の元を去ってしまう
その様に考えていたことでしょう。
この様なロダンの思いは、彼の作品、特に『地獄の門』に色濃く残されています。
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話を作品に戻しましょう。
カテドラル(大聖堂)とは大きな石の建造物であり、多くの人々が神に祈りを捧げる場所です。
祈るのは家族の幸せでしょうか。そして、家族の基礎となるのは一組の男女。
真実の愛を否定し続けたロダン。
晩年に彼が『カテドラル』に見たのは、温かい家族
そして心の底で願った永遠の愛だったと考えては感傷的過ぎるでしょうか?
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オーギュスト・ロダン晩年の作品『カテドラル』
彼はこの作品に何を象徴させたかったのでしょうか。
その辿り着いた答えとは?
皆様はどんな答えに辿り着きましたか?
ロダンの作品をじっくりと鑑賞して思いを巡らせてみたい方
是非、ロダン美術館にお越し下さい。
kate,
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Musée RODIN (ロダン美術館)
77 rue de Varenne, 75007 Paris
01 44 18 61 10
メトロ : Varenne (13番水色の線) から徒歩5分
開館時間 :
火曜日-日曜日 10h-17h45 (17h15から閉館準備が始まるので注意)
月曜日休館
夜間開館 :
水曜日 20h45まで (20h15から閉館準備が始まるので注意)
入館料 : 10€ (25歳までの方は7€)