カミーユ・クローデル作 『ワルツ』 -悲しい決別のワルツ-
悲しい決別のワルツ
カミーユ・クローデル作 『ワルツ』
1889年-1905年
高さ 46,4cm
『ワルツ』という名のついたこの彫刻。
ワルツと聞いて何を想像しますか?
三拍子の優雅なダンスでしょうか?
でも、この二人の姿を良く見て下さい。
ワルツというよりは、まるでタンゴの様な激しいダンスだと思いませんか?
もっと近付いて男女の身体を見て下さい。
見事なまでにリアルな肉体表現です。
でも、試しにこの姿勢をとってみると・・・
とても不安定で、すぐにでも転んでしまいそうです。
不安定な女性を支える男性の腕
実際にワルツを踊るときよりもずっと深く女性の身体を包んでいます。
もっともっと近付いて、男女の表情にも注目して下さい。
男性の表情は恍惚の表情とも取れる反面
何かを深く理解している?
何かに悲しんでいる?
何かに心を痛めている?
と心の奥底にある様々な感情が読み取れそうです。
女性はどうでしょうか?
目を閉じ、全身を男性に委ねている様に見える反面
男性を避けている様にも見えませんか?
まるで何かを決断した、凛とした強さすらも
その表情からうかがえないでしょうか?
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カミーユは、自分の心の奥にある感情を
全て作品に注ぎ込むタイプの芸術家でした。
では、この作品『ワルツ』には彼女のどんな感情が込められているのでしょうか?
これは鑑賞者によって様々で、残念ながら答えはありません。
でも、それが逆に鑑賞者の想像力を刺激し、楽しませてくれる作品です。
私は、悲しい決別のワルツと名付けてみました。
何故かって??
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カミーユが彫刻家ロダンの弟子であり愛人であったのは有名です。
そして、カミーユの作品はロダンの真似であると揶揄されていたのも事実です。
ロダンの影として苦しんだカミーユ。
この作品の制作期間に音楽家ドビュッシーとの親交を深めていきます。
ロダンとの決別を心に決めたのでしょうか?
懸命に自分の道を模索するカミーユ。
この作品からはロダンの影が消え、カミーユ自身の表現方法に辿り着いています。
そして、その人生においてもロダンとの決別を決めたカミーユ。
しかしその結果は・・・
ロダンとは別れることが出来ず、破滅の人生へと突き進んでいきました。
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もう一度この作品を良く見てください。
男性はロダンなのでしょうか?
女性を支える男性の腕からは、不安定な自分を支えて欲しい
その男性の表情からは、自分自身を深く理解して受け入れて欲しい
そんなカミーユの心の声が聞こえてくるようです。
では、女性はカミーユ自身なのでしょうか?
凛としたその表情は、ロダンとの決別を心に決めて
自立を望む強い気持ちだったのでしょうか?
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強さと悲しさの入り混じったワルツ。
この記事を読んで頂いた皆さんは、この作品に何を感じ
どの様なタイトルが思い浮かんだでしょうか?
ロダン美術館には、ロダンはもちろんのこと
カミーユ・クローデルの作品も多く展示されています。
もっと作品を見たい、もっと他の話も聞いてみたい
又は、もっと間近でこの作品を見たいという方
是非ご連絡ください。
kate,
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Musée Rodin (ロダン美術館)
77 rue de Varenne, 75007 Paris
01 44 18 61 10
メトロ : Varenne (13番水色の線) から徒歩5分
開館時間 :
火曜日-日曜日 10h-17h45 (17h15から閉館準備が始まるので注意)
月曜日休館
夜間開館 :
水曜日 20h45まで (20h15から閉館準備が始まるので注意)
入館料 : 10€ (25歳までの方は7€)